トランプ大統領の移民政策による日本人への影響は?グリーンカードやH1-B規制など、在米者・渡米予定者が今ぜひ知っておきたいポイントを教えちゃいます!

2017年1月に大統領に就任したドナルド・トランプ氏。大統領選時代から現在まで、移民政策に関する過激な発言が波紋を呼んでいます。トランプ大統領就任後、漠然とした不安に駆られたアメリカ駐在員、ご家族の方も多いのではないでしょうか。今回はトランプ大統領の移民政策とその日本人への影響について、考えてみたいと思います。

アメリカと移民

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「人種のサラダボウル」として知られるアメリカは、世界でも有数の多民族国家として知られています。歴史上、ヨーロッパや南米から多くの人々がアメリカへ移住し、その建国や発展にも移民は深く関わってきました。そのため、「移民が作った国」と呼ばれることもあります。2016年のデータでは、国民の27%に当たる約8,600万人が移民もしくは彼らの子供(アメリカ国籍保持者)として暮らしているとされています。非移民や不法移民を合わせると、アメリカ在住外国人の数はさらに多くなります。

トランプ大統領と移民

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トランプ氏は大統領就任前から国内での不法滞在・不法労働者の取り締まり強化を訴えてきました。「メキシコとの国境に壁を建設する」と繰り返し演説していたのを覚えている方も多いと思います。また、「アメリカ・ファースト」を掲げ、移民や非移民がアメリカ人の雇用の機会を奪っていると訴えるトランプ氏は、これまで外国人労働者に寛容だったアメリカ社会を変えようとしています。

トランプ氏が大統領就任にあたり公表した移民政策は以下の通りです。

・メキシコ国境での壁建設(国境管理の強化)
・不法労働防止のためのE-Verifyシステムの導入
・出生地主義での国籍付与の廃止
・幼少期に不法入国した若者への滞在延期措置(DACA)の廃止
・不法移民の収容・送還
・グリーンカード発行数の制限
・H-1Bビザの規制
・アメリカ人の優先的な雇用
・難民受け入れの制限

日本人への影響は?

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トランプ大統領の移民政策の中で、日本人に影響する可能性が高い政策をいくつかご紹介します。

1. H-1Bビザの見直し

H-1Bビザは高度な専門職に就く者に与えられる特殊技能職ビザです。トランプ大統領は、現行の制度ではこのビザの取得が容易すぎることを指摘し、そのためにアメリカ人の雇用機会が奪われていると主張しています。特に問題視されているのが、インド系のIT会社です。H-1Bビザ保持者の約7割はインド人のエンジニアであると言われていて、それらの会社は安い労働力を得るために、ビザを取得できるギリギリの賃金で 多くのインド人にH-1Bビザを取得させているといいます。

これを受けて議会では、H-1Bビザの最低賃金の引き上げ、抽選方式の廃止、申請費用の値上げ、審査の厳格化などに動き出しています。最低賃金は現行の年間6万ドル(約650万円)から13万ドル(約1,400万円)への引き上げが提案されています。もしH-1Bビザ取得者への最低賃金が13万ドルとなれば、スポンサーする企業が激減することは間違いなしです。また、これらの法案はまだ成立していませんが 、既に移民局での審査の厳格化・長期化が数多く報告されています。

2. H-4ビザ就労許可の廃止

一般的に、H-1Bビザ保持者がグリーンカードを取得する際には長い待ち時間が発生すると言われています。長い時は申請から取得まで10年間かかることもあります。この事態を受けて、オバマ前大統領は2015年、グリーンカード申請中のH-1Bビザ保持者の配偶者(H-4ビザ)にも就労許可を付与する法を成立させました。これにより、多くの配偶者、特に女性たちが働く権利を得ました。しかし、トランプ大統領はこの制度の廃止を訴えています。

廃止は2018年4月に決行される予定でしたが、H-4保持者やその支持者からの強い反発を受けて、一旦延期されています。また、H-4保持者の就労許可を守るために、「Save H4EAD」という署名・抗議活動が活発化しています。

3. DVプログラムの廃止

2017年10月にニューヨークでトラックを使ってテロを起こした犯人が、DVプログラム(ダイバーシティ・ビザ・ロッタリー・プログラム)を使ってアメリカへ移住していたことを受けて、トランプ氏は事件後すぐにDVプログラムの廃止を訴えました。DVプログラムとは、アメリカ国内の移民の多様性を保つために、米国国務省が決める特定の国出身者を対象に、毎年抽選でグリーンカードを付与しているプログラムです。このプログラムを通して年間約5万人が永住権を取得していて、日本人も毎年200〜300人が当選しています。

まだプログラムの廃止は決定していませんが、もし廃止になれば、アメリカへ移住する方法の1つが失われることになります。

4. 出生地主義での国籍付与の廃止

アメリカでは南北戦争後から現在まで、たとえ外国人であっても国内で生まれた子供にはアメリカ国籍を与えるという出生地主義を取ってきました。この制度により、年間約30万人もの外国人の子供がアメリカ国籍を取得しています。トランプ氏は、この制度は不法移民の流入を誘発していると批判し、廃止か規制を求めています。出生地主義が廃止されると在米駐在家族や非移民家族への影響が考えられますが、この件はトランプ政権発足後、目立った議論はされていません。

トランプ大統領による移民政策、日本人をターゲットにした法案はないですが、法として成立した場合は間接的に日本人にも多くの影響が出てきそうです。ただ、ただでさえスキャンダルや過激な発言で批判が耐えないトランプ氏です。任期中に全ての法案が可決・成立する可能性は低いかもしれません。強硬的な移民政策を推進しているトランプ大統領ですが、彼の祖父はドイツからの移民、母はスコットランドからの移民と、移民のルーツを持っています。移民の子供が今度は移民を追い出そうとしている、なんだか皮肉的ですね。

今回は、トランプ大統領になってからのアメリカの移民政策方針をご紹介しました。制度の改正時期や諸条件など、詳しい情報は移民弁護士や専門家にご相談ください。きちんとした知識と情報を得た上で、安心のアメリカ生活が送れるようにしていきましょう!