アメリカ合衆国大統領選挙制度について、アメリカ駐在初心者が解説します!

テレビを賑わせているアメリカ合衆国大統領選挙ですが、その選挙制度についてご存じですか?調べれば調べるほど深い話になってくるので、アメリカ駐在初心者がかなり簡単にざっくりと解説させていただきます。

アメリカ合衆国大統領選挙は4年に1回

偶然なのかどうなのか真相は定かではありませんが、オリンピックの年が大統領選挙の年です。4年に1回、7月から11月にかけて行われます。大統領の任期は1期4年で2期までです。最大8年ということですね。過去任期途中で退任したのは、政治スキャンダル、ウォーターゲート事件によって辞任した第37代リチャード・ニクソン大統領だけです。

 

ウォーターゲート事件

事件は、1972年の大統領選挙戦のさなかに、当時のニクソン共和党政権の野党だった民主党本部があるウォーターゲート・ビル(ワシントンD.C.)に、何者かが盗聴器を仕掛けようと侵入し警備員に発見されて警察に逮捕されたことから始まりました。やがて犯人グループがニクソン大統領再選委員会(Committee to Re-elect the President, CREEPまたはCRP)の関係者であることが分かり、当初ニクソン大統領とホワイトハウスのスタッフは「侵入事件と政権とは無関係」との立場を取りましたが、ワシントン・ポストなどの取材から次第に政権内部がこの盗聴に深く関与していることが露見します。さらに事件発覚時に捜査妨害ともみ消しにホワイトハウスが直接関わり、しかも大統領執務室での会話を録音したテープが存在することが上院調査特別委員会でわかりました。このテープ提出の拒絶や、事件を調査するために設けられた特別検察官を解任する(そのため司法長官と次官が抗議辞任)など、明らかな司法妨害が政権よりなされました。こうした不正なニクソン政権の動きに世論が猛反発し、やがて議会の大統領弾劾の動きに抗しきれなくなって、合衆国史上初めて大統領が任期中に辞任に追い込まれ、2年2ヶ月に及んだ政治の混乱が終息しました。

共和党と民主党のそれぞれの党代表が大統領の座をかけて選挙でたたかいます

アメリカの政党は共和党と民主党しか聞かないですよね。しかし、ちゃんとあるんです、他にも第三政党は。ただ、第三政党からアメリカ合衆国大統領に立候補したい場合は、各州から一定の署名を集めないと認められないそうで、あまり現実的ではないですよね。よって、基本的にアメリカ大統領選挙は共和党と民主党の代表選挙になります。このアメリカの政党制度ですが、日本ほど党の政策などが影響しないもののようです。政策や政治理念が一致しているからその党に所属しているというわけではなく、出身地域が大きく影響しているようです。

党の代表になるための予備選挙

まずは大統領選選挙に出馬するために、党の代表にならなくてはなりません。その代表を選出する選挙を予備選挙と言います。この予備選挙は大統領選挙のある年の2月から6月に行われます。有権者の直接選挙ではなく、各党の代議員が投票して選出します。ちなみに、この代議員も党員集会と呼ばれるところで選挙によって選出されます。

党代表が出そろったら本選挙で大統領を選出

よくSNSなどで有名俳優が今日は選挙だから投票に行きましょう!と呼び掛けているのを見かけますが、ここでも行われるのは実は間接選挙です。アメリカ大統領選挙の解説をテレビ等で見たことのある方はご存知かと思いますが、◯◯州は◯◯候補になりました、といった話を聞くと思います。この謎を解きたいと思います。

まず、最終的にアメリカ合衆国大統領を選出するのは選挙人と呼ばれる人です。この選挙人の過半数の支持を得た候補者が大統領に選出されます。選挙人は全米で538人います。システムは複雑なのですが、簡単に言うと人口の多い州には選挙人が多くいます。

選挙当日、一般有権者はこの選挙人候補団を選出します。そして12月に選出された選挙人が投票によって大統領を選出します。ただ。。。

選挙人候補団は選挙の段階でどの大統領候補を支持するか表明しているため、実質一般有権者の投票は大統領候補を選んでいるといっても過言ではないのです。そして、選挙の結果その州の支持する候補者が判明します。州によって微妙に違ってくるのですが、ほとんどは州で一票でも多く得票した大統領候補者が、その州の大統領選挙人をすべて独占するというルールを取っています。したがって、一般有権者による選挙当日に実質大統領が選出されるというわけです。

 

得票数では勝っていたのに・・・

2000年の大統領選挙では、有権者の投票数ではゴア氏が勝っていたのにも関わらず、獲得した選挙人の人数ではジョージ・ブッシュ氏が勝ったため、ジョージ・ブッシュ氏が大統領に選出されるということがありました。

 

いかがでしたでしょうか?アメリカ合衆国大統領選挙、駐在員は傍観することしかできませんが、新しい大統領の政策によって移民法が厳しくなり、帰国せざるおえなくなる。。。などといった事態が起こるかもしれません。違った意味でドキドキしますね!