日米大学入試の違いとは?アメリカの大学では成績よりも人格重視って本当!?

日本とアメリカの大学入試を比較してみて驚いたことは、合格条件の根本的な違いです。過酷な受験勉強の後一発勝負で成績による生徒の評価をする日本の入試制度と、成績はもちろんその他にも学生の人間力や人格までを評価するアメリカの入試制度の違いでした。そこで実際に、筆者が息子の大学入試を通して学んだこと日米大学入試の違いについて、ご紹介します。

 

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アメリカの大学の選抜の特徴

一流の大学を目指す受験生は全員が当然成績は優秀ですから、他の受験生とどこか別のところで差をつける必要が出てきます。勉強だけの頭でっかちではなく、個性のある人間として、地域社会への貢献など様々な体験が求められます。大学の奨学金を大きく得るためにも、その奨学金を将来大きく社会に還元してくれそうだと判断してもらうため、人間としての総合力が必要になります。

希望する大学に提出する願書

アメリカの高校生が大学受験をする際、以下が必要となります。

①GPA(高校4年間の内申書のスコア)

日本で言う成績表です。一部地域によって異なりますが、一般的にはAが4.0、Bが3.0、Cが2.0、Dが1.0、Fが0というスコアになり、最高はオールAで4.0となります。(厳密にはUnweighted GPAとWeighted GPAの二種類があり、Unweighted GPAの場合、GPAの最高値を4.0として数値を算出します。一方、Weighted GPAの場合、Advanced PlacementやHonor Coursesを受けることによりGPAは5.0もしくはそれ以上に高くなる場合があります。)

②SAT/ACT(大学進学適正試験のスコア)

SAT(Scholastic Assessment Test)は、アメリカの大学進学希望者を対象とした共通試験で、日本で言うところのセンター試験のようなものです。センター試験との大きな違いは、一発本番のテストではなく、年に7回実施され、好きな時に何度でも受けられるという点です。SATは2,400点満点で、数学(Math)、読解(Reading)、筆記(Writing)3つのカテゴリーに分かれており、それぞれ800点満点を合計して計算されています。一方、ACT(American College Testing Program)は英語(English)、数学(Math)、読解(Reading)、科学(Science)の4つのカテゴリーと、筆記(Writing)のオプションがあり、筆記を除く4科目の合計点36点満点の試験で、アメリカとカナダでは年に6回、他国では年に5回開催されます。SATよりはメジャーではありませんが、ほとんどの大学で採用されている試験です。

③履歴書

NHS(National Honor Society:全米優等生協会)やディベート、スピーチなどコンテストでの受賞、スポーツや音楽や生徒会などの課外活動、ミュージカルなどの芸術活動、ボランティアやアルバイトで地域に貢献した経験などにより、特技やリーダーシップ、協調性、忍耐力、責任感、勉学との両立などが評価されます。

④エッセイ

自分の経験や学生生活を主張し、価値観や意欲や目標などユニークさを綴り、人格を明確にアピールする必要があります。大学により5本ものエッセイの提出を求められることもあります。

⑤推薦状

学校の先生やクラブのコーチなどに推薦状を書いてもらいます。

⑥面接

ユニークな人材が求められるので、一部の大学では、その人物が大学にどれだけ貢献できるかを判断するための面接が行われます。 大まかな流れとしては、①~⑤の書類をオンライン、または郵送で大学に送ります。書類選考を通過した場合、大学まで面接に出向きます(遠方であれば、飛行機のチケットが送られてくる場合もあります)。入試の審査は10月(early decision)と2月(一般)にあります。10月の審査結果はクリスマス直前に発表されますが、early decisionに合格して入学を承諾した場合には、他の大学へ提出した願書は取り下げなければいけないので注意が必要です。最終合格発表は、オンラインと郵送による書面が届きます。

大学浪人はなし!編入制度を利用して、希望大学に入りましょう

大学受験に失敗してもアメリカには浪人や予備校の制度がないので、とりあえず入った大学で単位を取りながら、希望大学にもう一度挑戦して編入することもできます。アメリカには、たとえ学生が受験に失敗しても、いくら年を取っても、人生が何度でもやり直せるような風土と仕組みがあります。人生の途中でよりよい学歴や仕事に就くために、再び大学や大学院に戻る人も沢山いますから、父親や母親が大学生という家庭も普通に存在しています。

自立の道を歩み始める大学生

アメリカでは高校を卒業すると、ほとんどの学生が家を出て自活をし始めます。大学の寮やアパートに入り、奨学金とアルバイトと学生ローンで生活を賄います。学生は自分でお金を払っているということもあり、早く卒業するために真剣に勉強をしながら仕事もしています。 こうして見ると、日本とアメリカの大学受験にはずいぶん違いがありますね。「人生の夏休み」と言われ、大学生活を思う存分にエンジョイする日本の大学生と違って、アメリカの大学生の多くは、将来を見据えて努力を始めているように見えます。彼らは早い時点で自立への道を歩み出し、自分の将来についてより真剣に考えているのかもしれません。

 

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