能力主義社会アメリカでのお給料事情、日本の制度との根本的な違いとは?

アメリカでのお給料は、職種によって大きく異なり、その差は日本での差と比較に鳴らないほどです。主に過去の経歴、スキル、働くポジションなどによって、お給料が決められます。日本では依然、学歴社会の風潮が残っていますが、アメリカは能力主義社会のため、良い雇用条件を得られるよう自分の能力を企業にアピールして、時には給与交渉を自身で行うのが一般的です。筆者はそんなアメリカの労働環境で働いて約10年となり、今までの経験から知り得たアメリカのお給料事情をご紹介したいと思います。

 

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アメリカでのお給料形態

お給料形態には2つのタイプがあり、エグゼンプト労働者(Exempt)とノン・エグゼンプト労働者(Non-exempt)に別れます。一般的には、マネージャー以上の管理職や専門職など、時間で換算できない仕事の責任を持つポジションはエグゼンプト、一般事務職など、時間で換算できる仕事の責任を持つポジションはノン・エグゼンプトに該当します。エグゼンプト労働者の給料は基本的に年俸制でボーナスもないので、給料表示された金額の12ヶ月割が月給となります。給料の受給回数は月に1回、2週間に1回、1ヶ月に2回など様々です。日本では月に1回の給与支給が一般的ですが、アメリカでは月に2回支給のほうが一般的と言えます。エグゼンプトの場合は残業という概念は無く、長時間働いても収入が増えるわけではないため、時間についてはフレキシブルに働くアメリカ人が多いようです。また、通常は年一回、昇給制度があり、前年のパフォーマンスから判断されて翌年のお給料に反映されます。

気になるボーナスは?

日本では必ず年に2回ボーナスが支給されるというのが一般的なこともあり、大きな買い物をする際にボーナスを当て込んでローンを組んだりします。一方、アメリカではボーナスは必ず会社から支給されるものではありません。その代わり、企業によってはインセンティブ制度を設けています。例えば、その年度の業績が良かったりすると、従業員にインセンティブが支給されます。支給額はその年の業績と連動しているため、毎年異なりますが、日本のように月給の何か月分というような安定した支給額ではなく、年収の何パーセントという形で支給されます。その反面、業績が悪い年はゼロになります。支給される時期は年末の12月ではなく、決算が終了した翌月に支給されるパターンが多いようです。ちなみに筆者の友人が働いている会社では、業績が良い時には年に4回ボーナスを支給された年があったそうです。うらやましい限りですね。

交通費は?

アメリカは日本のように公共交通機関が発達していないため、通勤には自分の車を利用することが多いということもあり、車のメンテナンスにも結構な費用がかかります。一般的に、自宅から会社までの通勤にかかるお金は社員持ちで、ガソリン代は自分で払います。一方で、会社から客先までの移動に使ったガソリン代を経費清算します。IRSというアメリカの政府機関によって、毎年州によって距離と支給金額が決められており、2017年は1マイルにつき53.5セントです。また、車を頻繁に利用する営業職の場合は、毎月の車のメンテナンス費用として一ヶ月当たり$500を支給するといった企業もあります。

福利厚生について

アメリカの代表的な福利厚生は健康保険、401K(年金)、有給休暇となります。まず、健康保険ですが、アメリカでは各自が民間の健康保険に加入する必要があり、日本のように国民保険はありません。401Kですが、これは代表的な年金プランの一つで、アメリカには日本のような退職金制度がありませんので、各自が計画して老後の蓄えを貯める必要があります。自分の給与の数%を積立に回して、会社もそれと同額程度を積立するというのが一般的です。有給休暇に関しては、日本と同じように与えられますが、日本とは違い有給の持ち越しをせずに全て消化する、消化しきれなかった場合、会社がその分を買い取り給与として支払います。また、有給休暇とは別にSick Leaveと言って病欠休暇を与える企業もあります。また、それぞれのプランに加入するかしないかは各自の自由なので、アメリカでは自分の身は自分で守るという自己防衛の考え方が定着していると言えます。 日本もアメリカのように成果主義を取り入れている企業も増えてきていますが、まだまだアメリカほどではありません。アメリカは実力主義社会と言われていますが、日本では年功序列社会の風潮が残っています。どちらが良い悪いということではなく、それぞれの違いをきちんと把握して、自分の環境のルールや慣習に従っていくことが寛容と言えるでしょう。mAmericaでは、給与や福利厚生などの人事関係に関する質問も承っていますので、記事を見て疑問をお持ちの読者の方がいましたら、ぜひお問い合わせフォームまでご連絡ください。

 

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