あなたのそのSIMフリースマホ、アメリカで本当に使えますか?

最近、「MVNO(格安SIM)」、「SIMフリースマホ(格安スマホ)」という言葉をよく耳にします。テレビCMでも、ヨドバシカメラが格安スマホの代表格フリーテルを大々的に宣伝しています。少し前までは携帯電話と言えばNTTドコモ、au、Softbankの3社しかなかったのが、今はたくさんの種類があります。某有名な女性タレントがCMに出演してたり、スーパーやDVDレンタルの会社がスマホを出したり、なんだか有象無象な雰囲気を呈しているとも言えます。

そんな世間を賑わせる「SIMフリースマホ」ですが、SIMフリーでもどこでも使えるわけではない、ということをご存知でしょうか?今回はそんなSIMフリースマホの落とし穴について、ご紹介します。また、関連するMVNO(格安SIM)やSIMフリースマホ(格安スマホ)については、mAmerica別記事「最近アメリカでも話題のMVNO(格安SIM)とSIMフリースマホ(格安スマホ)って一体何?」をご参照ください。

 

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SIMフリースマホを持っていれば、全世界でどのSIMカードも使えると思ってませんか?

これは非常に多くの方が勘違いしていることですが、大きな間違いです。「フリー」と言ってもどこでも使えるわけじゃないんです。そもそもこの「フリー」って何?って話ですが、各通信キャリアによるSIMロックがかかっていないことを、「フリー」と一般的に呼んでいます。例えば、NTTドコモのスマホを買ったとします。その中には当然、ドコモのSIMカードが入ってます。

通信1-2

このSIMカードを例えばauのカードに変えて、ドコモのスマホに挿入したとします。でもこれは使えません。なぜならドコモで買ったスマホには「SIMロック」という一つの通信キャリアしか使えないような制限がかけられています。通常、日本の大手キャリアのスマホは基本SIMロックがかかっています。最近は購入後半年経てばロックを「解除」し、「SIMフリー化」することができるようになりました。

そしてここからが本題です。SIMフリー化されたスマホ、または最初からSIMフリーのスマホはアメリカでどのキャリアでも使えるのでしょうか?答えは、「NO」です。理由は、「通信方式」や「周波数帯」が自分の持っているスマホに対応していて初めて使えるのです。少し専門的な内容になってきますが、実際の格安スマホを例にとってご説明していきます。

筆者が買ったASUS ZenFone 2 Laser ‏(ZE500KL) を使ってご説明します。

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筆者が購入したこのスマホは、ドコモなどの通信キャリアのショップではなく、家電量販店に売っているいわゆる「格安SIMフリースマホ」です。なぜSIMフリースマホを買ったかと言うと、大手キャリアより格安スマホを提供するMVNO事業者の月額プランが安いからです。

筆者はヨドバシカメラが最近推しているフリーテルという会社のプランに入っています。フリーテルの通信回線はドコモを使っていますし、何より格安なので非常に満足しています。このASUSの格安スマホをアメリカで使いたいと思った場合、まずメーカのウェブサイトに行きこの型番のスペックページに飛びます。このページの「対応無線規格」というところを見ます。

(表1)対応無線規格

2G EDGE/GSM 850/900/1800/1900
3G W-CDMA 800(6)/800(19)/850(5)/900(8)/1900(2) /2100(1)
4G FDD-LTE 2100(1)/1800(3)/850(5)/800(6)/900(8)/1700(9)/800(18)/800(19)/700(28)

 

 

この「3G」や「W-CDMA 」、「800(6)」と記載されているのが「通信方式」、「周波数帯」です。特に意味を覚える必要はなく、筆者が購入したASUSのスマホは、「通信方式」や「周波数帯」が同じであれば、アメリカであろうがアフリカであろうが使えるということです。それでは、アメリカの大手キャリア4社の通信方式と使用バンドを表にしましたので、見てみましょう。

(表2)アメリカの各通信キャリア「通信方式」と「周波数帯」

アメリカの各通信キャリア通信方式・周波数帯
筆者のSIMフリースマホは、3Gの列を見ると、「3G」「W-CDMA」「800(6)/800(19)/850(5)/900(8)/1900(2) /2100(1)」と書かれていました。カッコの中はバンドと呼ばれている通信帯域番号のことです。周波数1.9GHzと細かく書いてあるのになぜ更にバンドがあるかというと、同じ周波数帯でも800MHzはバンドが0や1や26など、一つの周波数帯の中にいくつも種類があるのです。ココではあまり気にしすぎず、カッコの中の数字が「バンド」だと思っておいてください。筆者のASUSのSIMフリースマホが対応している3Gの通信方式はW-CDMA、対応バンドは6, 19, 5, 8, 2, 1 となります。これを上記のアメリカ通信キャリア「通信方式」と「周波数帯」の表から探します。

(表3)筆者のスマホとアメリカの各通信キャリア、3Gでの「通信方式」「周波数帯」をマッチングさせた表
3Gでの通信方式・周波数帯をマッチングさせた表
表3の黄色になっているところが一致しているところです。ここから、筆者のSIMフリースマホは3G回線であれば、アメリカで使えるキャリアは、「AT&T」と「T-Mobile」ということになります。次にLTEにもあてはめていきましょう。LTEも同じ要領で見ていくと「FDD」「LTE: 2100(1)/1800(3)/850(5)/800(6)/900(8)/1700(9)/800(18)/800(19)/700(28)」とあります。その数字をさらに上記のマッチング表に当てはめてみると、

(表4)筆者のスマホとアメリカの各通信キャリア、LTEでの「通信方式」「周波数帯」をマッチングさせた表
LTEでの通信方式・周波数帯をマッチングさせた表
オレンジの色になっているところ、つまりAT&TのみでLTEも使用可能ということがわかりました。音声通話は3G回線を使い、データ通信はLTEを使うのが主流の現在では、筆者が購入したSIMフリースマホは、アメリカではAT&Tと一番相性が良さそうです。しかし、LTEでの「通信方式」「周波数帯」マッチング表をよく見てみると、「700MHz(バンド17)」「1.7GHz / 2.1GHz(バンド4)」「1.9GHz(バンド2)」「2.3GHz(バンド30)」の部分、色がついていません。これは、筆者が購入したSIMフリースマホが、AT&Tという通信キャリアが提供する5つのバンドの内、4つは対応外ということを意味し、一番相性が良いAT&Tでも100%の性能は発揮できないということです。例えば、「700MHz(バンド17)」しかLTEの通信が利用できない地域があった場合、その地域で筆者のSIMフリースマホはLTE通信が使えず、2G、もしくは3Gのみ利用可能ということになります。

それでは、どのSIMフリースマホを選ぶべき?

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ベストシナリオは、「新しいSIMフリースマホを購入する時点で、アメリカ行きが決まっている」場合です。この時は、アメリカで利用する通信キャリアを先に決めた上で、その「周波数帯」になるべく合うSIMフリースマホを選ぶのがベストです。どの通信キャリアを選ぶべきかは、mAmerica別記事「アメリカの通信キャリアを徹底比較、気になるスマホの繋がりやすさを要チェック!」をご参照ください。

一般的に、格安スマホはあまり多くの「周波数帯」をカバーしていないので、iPhoneやGalaxyなど、グローバルで展開されているモデルを選択することをオススメします。これらを選んでおけば、仮にアメリカで利用する通信キャリアが決まっていない場合でも、高確率でいくつかの「周波数帯」をカバーしている通信キャリアを見つけられるからです。逆に、格安スマホは購入時は安くてお得なように感じますが、アメリカに来て「あ、このスマホ使えない!」となるケースがほとんどで、結局アメリカでまた新しいスマホを購入する必要が出てきます。

 

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いかがでしたでしょうか?自分のスマホがアメリカできちんと使えるかどうかを調べるには、知識が必要になります。内容を読んだものの未だによくわからない、電子機器やスマホのことは苦手!という読者の方もいらっしゃると思いますが、そんな方は一度mAmericaご相談フォームよりご連絡ください。ご利用状況に合わせたアドバイスをさせていただきます!

 

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