アメリカでは育休休暇がほとんどないって本当?日本人駐在員の皆さんに、カリフォルニアでの育休制度をご紹介します!

カリフォルニアでの育休はアメリカの中では恵まれている [caption id="attachment_1047" align="alignnone" width="620"]http://www.techrepublic.com/ 出典:http://www.techrepublic.com/[/caption] 現在はトランプ大統領が独特のリーダーシップを発揮し、アメリカを変えようとしていますが、その昔オバマ大統領がアメリカを変革しようとしていたある日のスピーチでこんなことを言いました。 「Today, we’re the only advanced country on Earth that does’t guarantee paid sick leave or paid maternity leave to our workers.」 翻訳するとこんな感じ。 「国民に有給での病休や育休を保証していないのはこの地球上でアメリカだけなんです!」 ということで、当時のアメリカの状況を見て、子育てをするには大変な国だと憂いている状況がとても良く分かります。実際のところはどうだったのでしょうか、見ていきましょう。 ※カリフォルニア州以外の州はまた別の州法がありますので、ご注意ください。

カリフォルニアの育休制度をまとめた表と専門用語

[caption id="attachment_1107" align="alignnone" width="850"]http://www.techrepublic.com/ http://www.techrepublic.com/[/caption] まずは上記の表を見ていただくと、何やら専門用語がたくさん並んでいて、よくわからないという方がほとんどだと思いますので、最初に用語の解説をしていきます。

【FMLA:Family and Medical Leave Act】

妊娠をきっかけに勤務不可の状態になった女性従業員、または妊娠した妻を持つ男性従業員の雇用を守るための法律で、妊娠休暇に入って最長12週間、現職の雇用が守られます。(※50名以上で12カ月、1250時間以上働いた一般企業の従業員にのみ適用されます。)また、米国政府や州政府に勤める公務員には自動的に適用されます。

【PDL:Pregnancy Disability Leave】

FMLAに上乗せする形で、育休として活用できる制度で、最長4カ月まで現職の雇用が守られます。

【CFRA:California Family Rights Act】

FMLAと同様の内容の法律で、SDIが終了し、PFLが始まるタイミングから適用可能で、最長12週間まで現職の雇用が守られます。

【SDI:State Disability Insurance】

病気や怪我などで出勤不可の状態になってしまった従業員の給与を保護するための法律で、妊娠や手術などの場合にも適用されます。通常は10週間まで、手術が必要なケースなどは最長12週間まで政府から現職で得る程度の給与が支給されます。

【PFL:Paid Family Leave】

2004年に制定された法律で、子育て(養子を含む)や深刻な病状の親族を介護するために休暇を必要とする従業員の給与のうち、55%を政府が保証します。2014年には祖父や孫まで法律の解釈が広がり、最長6週間まで給与の55%が支給されます。

Job ProtectionとIncome Replacementの2つの機能

View this post on Instagram

A post shared by Sophie Sanam Lashkari (@deeezine) on

まずほとんどの方が抱く印象はとても複雑で難しいということでしょう。アメリカ人でもよく分かっていない人がほとんどですので、この時点で焦る必要は全くありません。それぞれの言葉の定義や成り立ちを一つ一つ細かく見ていくと、弁護士やコンサルタントが必要になるレベルなので、ここでは大枠を掴んでいきましょう。 アメリカの育休において2つの重要な概念があり、それが表の右端にある「Job Protection(雇用保護)」と「Income Replacement(給与埋め合わせ)」で、以下のように振り分けることができます。 「Job Protection」:FMLA、PDL、CFRA⇒最長28週間の現職保護 「Income Replacement」:SDI、PFL⇒最長16週間の給与埋め合わせ 総括すると、カリフォルニア州では現在の雇用保護や給与埋め合わせのためにFMLA、PDL、CFRA、SDI、PFIなどの制度があり、これは州法で定められています。このあたりの法律は年が経つとアップデートされることが多いので、気になる方は現在勤めている会社の人事の方に確認しておきましょう。

アメリカ全土でみると…

 
View this post on Instagram
 

A post shared by Time Rewind® (@timerewind) on

アメリカ全土で見てみると、アメリカ合衆国の法律として定められているのはFMLA(現職保護)のみとなっています。これは1993年に、クリントン大統領が就任後間もなく、FMLAを国の法律と定めたのが現在も有効になっています。一方、給与の埋め合わせであるIncome Replacementはアメリカ合衆国の法律ではなく、カリフォルニア州など、ごく一部の州でのみ認められています。州が違えば国が違うというアメリカの特徴を改めて感じますね。 いかがでしたでしょうか?こういう風に見てみると、日本の企業は福利厚生が充実してるところも多く、アメリカで働くよりも働きやすいと言えるのかもしれませんね。きちんと制度を理解して、充実したアメリカ駐在生活をお過ごしください!