アメリカ現地小学校の優れた福祉制度とは?障がいを持つ子どもの親が知っておくべき基本情報

アメリカでは特別支援が必要な生徒に対して、学校、小児科、子ども病院、自治体の福祉課などが連携して子どもの成長を見守り、自立できるようになるまで長期的に支援をする制度があります。日本とアメリカでは仕組みや制度も違うため、きちんとアメリカのルールを把握しておきたいところです。今回は、筆者が働いていた公立小学校の事情を中心に障がい者の待遇をご紹介します。

特別支援教育


アメリカにはIDEA(Individuals with Disabilities Education Act)という障がい児教育法があり、3歳から21歳までの特殊教育や生活支援を必要とする人が、無料でサービスを受ける権利が保障されています。

公立小学校本部に揃う専門家たち

スクールカウンセラーと学科指導者はどの学校にもいますが、視聴障がいスペシャリスト、聴覚障がいスペシャリスト、行動障がいスペシャリスト、学校心理士、作業療法士、理学療法士、スピーチセラピストなどの専門家が必要に応じて学校に派遣されます。障がい者支援とは異なりますが、移民の英語上達のためにESL(English as a Second Language=第二外国語としての英語)専門の先生が常勤する学校もあります。

個別支援プランに従った授業を受ける生徒たち

特別教育が必要な生徒には、一人一人のニーズに合わせてIEP(Individualized Education Program)という個別支援プランが立てられ、生徒の発達を促しています。普通クラスに在籍しながら、支援プランに従って特殊クラスに行き授業を受けて戻ってきます。できるだけ普通学級の生活をさせるように配慮がなされています。普通クラスにいる時は、Special Education Teacherという補助がついて面倒を見ています。

5歳以上で障がいを疑ったなら

まず、担任の先生や小児科医に相談しましょう。本格的な検査の前に担任や学校のスタッフでできるだけの手助けをした結果、普通クラスに留まるレベルに達する生徒もいます。無理な場合は、スピーチセラピストや学校心理士によるテストを受け、個別支援プランが立てられます。公立学校の場合はすべて無料になります。

IEPミーティングで手厚いサポート

校長、スクールカウンセラー、担任、専門家、保護者が細かく検討して生徒のプランを練って指導に当たり、年に一度のミーティングでは個人の発達に応じて支援内容を改善しています。

S君の場合


S君はメキシコ移民の小学3年生。移民後しばらく経っても、スペイン語も英語もどちらも話している内容が聞き取れませんでした。最初は英語の環境にストレスを感じ学習にも障がいがあるのだと考えられました。ところが専門家による検査の結果聴覚障がいがあることが分かり、その後普通クラスと特別クラスで授業を受けています。途中で普通クラスを抜けて、聴覚やスピーチの専門の先生の部屋に行き訓練を受け、更に不得意な学科指導を受けた後、普通クラスに戻ってきます。

片耳に補聴器を入れており、音楽や体育に参加することもできます。ランチの時間もみんなで楽しそうに過ごし、休み時間にはそれまでは入れなかったボール遊びなどを楽しむようになりました。筆者は、S君が学校や専門家の支援によって幸せになれることを実感しました。他にも様々な障がいを抱えている生徒たちがいますが、S君同様に学校のスタッフと専門家と周りが懸命にサポートを続けています。

3歳以下の子供であっても

子どもの言葉の発達が遅かったり心配なことがあれば、市役所や小児科に問い合わせてみて下さい。地区のセンターには早期療育のシステムがありますから、学校に入る前から特殊教育サービスを無料で受けることができます。

アメリカでは障がい者も立派に自立して、社会の一員として活躍しています。小さい頃から家族や周りが障がいであることを隠さずに暖かく受け入れ、国家を挙げて支援していきます。特別支援の必要な子どもたちも平等に明るく育っていて、とても微笑ましいです。もし子どもについて心配なことがあれば、恥ずかしがらずにすぐに学校や市の機関に相談しましょう。いい解決策がきっと見つかるはずです。