アメリカ現地校での数学教育の問題点、日本の帰国子女が落ちこぼれてしまう理由がコレだ!

アメリカでのMath(算数・数学)教育はどのようになされているのでしょうか?SATやGRE、GMATなどアメリカの実力テストを受験したことがある方は、アメリカの数学のほうが簡単と思われる方もいるかもしれません。日本との違いはどんなところにあるのでしょうか?今回は、アメリカ現地校での数学教育の問題点について、指摘していきたいと思います。(本記事は、カリフォルニア州において生徒数1位の学習塾「ロサンゼルス「優塾USA」の塾頭のブログ』からの転載記事です。今回は、塾頭がアメリカにおける算数・数学教育の問題点を説明してくれます。)

 

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日本で帰国子女が落ちこぼれてしまう現状

筆者の小学校時代の友人にアメリカからの帰国子女がいました。彼は小学校3年生までアメリカ中部の学校に通っていましたが、算数や数学のクラスではいつもトップだったそうです。日本に帰った彼を待っていたのは、国語は当然のことながら算数までも「落ちこぼれ」としての学校生活でした。「〇〇君、まずは九九を覚えなさい」と先生に小学校2年生の教科書のコピーを渡されたそうです。今回は、アメリカの数学教育の問題点について、思うところを書きます。

練習問題と指導カリキュラムの欠如

アメリカの小学校の算数教育の問題点の1つは、計算や公式を覚えるための練習問題の絶対量が足りないこと。2つ目は、指導カリキュラムが系統立てて作られていないことです。方程式をやったと思ったら、次に分数の足し引き算をやったり、三平方の定理を終えたと思ったら、基本的な面積の問題をやったりするなど、「なんで、この順番?」と思うことがしばしばあります。

計算問題や、各セクションの問題一つ一つをとっても、順序が考えられていないことが少なくありません。例えば、問1でAの公式を使いその上でさらにBの公式を使わないと解けない問題があり、問2でただAの公式を使えば解ける問題が出てきて、問3で公式さえ必要ない簡単な問題が出てきたりします。これを見ると作った人の、小さいことを気にしない大らかさが感じられ、微笑ましくなります(いえ、なりません) 。日本では、教科書も参考書もそんなことは絶対にありません。セクションの問題はもちろんのこと計算問題でさえ、1問1問が順序も問題の内容も完璧に考えられています。

教科書のタイプミスが多く、問題や答えが違っていることも

アメリカの教科書はタイプミスも多く、問題や答えが違っていることがよくあります。教科書でさえそうなのですから問題集にいたっては言わずもがなで、ある有名出版社のSAT問題集は改訂版が出たので早速買うと間違いが10ヵ所以上もあり、あまりの間違いの多さに腹が立って全部の間違いをリストアップして苦情メールを送ろうとしましたが、送る直前「待てよ。なんで無料で添削してあげてるんだ」と思い、止めておきました。

それでも半年も経つと、その問題集は改訂版でもないのに、しれっとミスが直っていました。それ以来、その出版社の改訂版が出てもすぐには買わないようにしています。 日本では、そんなことまずあり得ないのに。まあ、細かいことを気にしない民族と、おそらく世界で一番細かいことを気にする民族の違いなんだろうなと思います。アメリカ人に「日本で教科書にミスがあると、新聞沙汰になるんだ」と言うと、みなびっくりします。以前、社会の教科書がどこかの村の「雪国はつらつ条例」を「雪国はつらいよ条例」なんて載せた間違い(ギャグかも)があり、そのときもしっかり新聞に載っていました。

算数・数学が苦手な先生が多い!

そして最後に一番の問題点ですが、小学校の先生で算数を教えること、もしくは数学自体が苦手な先生が多いこと。以前、アメリカの高校で数学を教えている日本人の先生と話す機会があり、アメリカの算数・数学教育についてびっくりすることを聞いたことがあります。

筆者:「アメリカの教科書って分厚いですよね。どうやって、あんな量を1年で教えるんですか?」

日本人先生:「すべて教えられるわけないじゃないですか。時間が足りませんよ」

筆者:「じゃあ、教えないところがあるということですか」

日本人先生:「そうですよ」

筆者:「じゃあ、どこを飛ばす、ってのはどうやって決めるんですか」

日本人先生:「自分が教える自信のないセクションを、とばすんですよ」(その先生は違います)

筆者:「え~? そんないい加減な。それじゃあ、子供たちがマスが苦手になっちゃうじゃないですか」

日本人先生:「だから苦手なんですよ、アメリカ人は。小学校の先生なんか算数の教え方とか習ってないから、重要なセクションほど平気で飛ばすんですよね。だから、中学、高校になって数学で落ちこぼれる生徒が多いんですよ」

重要なセクションを飛ばすなどと言うのはにわかには信じられませんが、実際に小学校の先生に算数を教えるのが苦手な人が多いことから納得できる面もあります。会話の続きです。

筆者:「小学校のうちにやっとくべき重要なセクションって、どこですか」

日本人先生:「分数ですね」

筆者:「小数はいいんですか?」

日本人先生:「小数は計算機を使うから、分数ほどは重要じゃないんです」

筆者:「分数が使える計算機だってあるじゃないですか」

日本人先生:「そこまで計算機でやらせると、どこが分かってないのか、こちらが把握できなくなるんですよ」

そんなわけで、分数の計算は重要なようです。ただ、その割にアメリカでは分数の線を斜めに書いたりわざわざ筆算で計算させたり、あえてわかりにくくしているところがあり、それを見るたびに、「なんでこんな教え方するんだろう」と思います。そして「日本の算数の方がいいなぁ」と思ってしまいます。

日本人がアメリカに渡ると、すぐクラスで1番になれる

日本の算数の方が良いことは、日本から来た何人もの子がアメリカの算数でクラスで1番を取ることができていることからも実感できます。逆のケース、アメリカでアメリカの算数のみで教育を受けた子が日本に行って半年、1年後に数学でクラスで1番を取ることができるとはとても思えません。なんか、アメリカの算数・数学教育の批判的なことばかりを書いてしまいましたが、アメリカの数学も高校になるとだいぶ良くなり、いくつかの部分では日本の数学よりも素晴らしいなと思うところもあります。続きはロサンゼルス「優塾USA」の塾頭のブログでぜひチェックしてみてください。

いかがでしたでしょうか?日本人からすると驚愕の事実ばかりですが、アメリカらしいと言えばそうかもしれません。本記事は、カリフォルニア州において生徒数1位の学習塾「優塾USA」の塾頭による教育と子育てに関するコラム『ロサンゼルス「優塾USA」の塾頭のブログ』からの転載記事です。現地校に通わせる親御さんで、「うちの子供は算数、大丈夫かしら…」と感じた方は、ぜひ一度優塾USAにお問い合わせいただくことをオススメします!

 

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