アメリカのチップ裏事情、レストランのウェイトレスは実際どれくらいもらっているの?エチケットとして知っておきたいチップの金額相場とは?

アメリカに旅行や留学、駐在などで来る場合、最初に戸惑うことの一つにレストランなどでのチップを挙げられる方は少なくないのではないでしょうか?日本にはチップを渡す習慣が無いので、渡米当初は戸惑うことも多いはずです。今回は、レストランなどでチップを渡すシチュエーションや、大体の相場をご紹介したいと思います。

 

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アメリカのチップ制度と最低賃金

 

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アメリカのサービス業界で働いている人たちの多くが、チップを頼りに生活しています。日本でも最低賃金の金額は定められていますが、各都道府県によって若干違いがあります。アメリカでも同じで、州や市によって最低賃金が変わります。地域によって物価が極端に違うので、この最低賃金は毎年のように変わります。

現在筆者の住むフロリダ州では、最低賃金は一時間8.10ドルです。これは時間給や固定給の仕事に就いている人にあてはまりますが、例えばレストランのウェイターやウェイトレスさんの場合、大半が時間給や固定給制ではないので、収入の大半をチップから稼ぐことになります。 2017年11月時点で、主にチップを収入源としている人たちの最低時間給は、フロリダ州の場合1時間5.08ドルです。一見低い数字にも見えますが、忙しいお店で働いてる人達は、チップでかなり稼ぎます。

逆に、忙しくないお店で働いてる人達は、もしチップで稼げなかったとしても、最低時間給だけは保障されます。州によって異なりますが、フロリダ州に限っては仮にチップがゼロだった場合でも、雇用主によって、最低賃金の8.10ドルは支払われる法律があります。一方、カリフォルニアなどの被雇用者の立場が強い州では、最低賃金は2017年11月時点で10.50ドルですが、これはチップを含めない金額なので、雇用者は最低一時間につき10.50ドルを支給する必要があります。

チップで生活をしている人がいっぱいいる!

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アメリカでは、高校を卒業した後は親から独立する人が多いです。進学に伴い、他の州に引っ越したりして、生活費や学費を自分で払っている人達がたくさんいます。そんな学生さんがよくするアルバイトは、主に小売を中心としたサービス業界です。もちろん、学校を卒業した後も本業として働いてる人もたくさんいます。また、子育てをしている主婦の方で、短時間だけで少し収入が欲しいという人も、サービス業界で働くことが多いです。

筆者自身も昔サービス業界で働いていましたが、サービス業界の職種は比較的学歴や職歴が問われないため、若者や非英語話者でも比較的入りやすいです。特に飲食店関係は、無料のまかない食や従業員割引サービスなどがあるところもあり、従業員ならではの特典を利用することもできます。なので、初めてアメリカで体験する職種としては良いかもしれません。 もちろん職種は飲食店に限らず、スパ、ネイリスト、タクシー運転手、カジノやゲームのディーラー、ディスクジョッキー、タトゥーアーティストなど、チップが発生するサービス業は多岐に渡ります。

チップの相場っていくら?

 

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そこで気になるのは、チップの相場だと思います。実際、みんないくらあげてるの?この質問って、なかなか他人に聞けませんよね?また、サービスをしてくれた人に「チップはいくら欲しい?」なんて、なおさら聞けないと思います。

地域やお店のレベル感によっても異なりますが、チップは大体支払った金額+10%~15%が一般的です。これはカジュアルなお店の場合ですが、少し高級な場所になると、+15%~25%が相場となります。特に日本食レストランの場合、他のレストランと比べると比較的サービスもよく快適な時間を過ごせるということから、18%以上が一般的で、筆者が昔働いていた日本食レストランでも、大半のお客さんから20%以上のチップはいただいていました。

もちろん、この相場はあくまで感謝の気持ちなので、絶対○○%支払わないといけないという義務はありません。相手が無愛想で全くサービス精神を感じられなかった場合、0~10%程度の支払いでも問題ありません。ただし、0~10%のチップの場合は、店員からもっとチップを払ってほしいと言われる場合がありますので、その金額のチップにした理由を説明しなければいけない場面がたまにあることを覚えておいてください。

一日の収入にするとどれくらい?

 

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え?たったのそれだけ?と思う方もいれば、そんなにもらっているの?と思う人もおり、意見が分かれると思います。実際、一日の収入に換算するといくらになるのか気になりませんか?働いている場所によって大きく変わる場合もありますが、具体的な数字を使ってシミュレーションしてみましょう。

例えば、仮にカジュアルなレストランの場合、1人あたり10ドルほどの料理を注文して、チップが10%ほど。この場合、ウェイターやウェイトレス(もしくはレストラン)の手元には、1ドルしか入りません。でも、普通はいくつかのテーブルを掛け持ちします。平均して、1時間に1人のお客さんがいるテーブルを6つ担当したとして、チップ分だけで6ドルになります。これに、フロリダ州の最低時給の5.08ドルを足すと、一時間に合計11.08ドルになります。これを1日8時間働いたとした場合、88.64ドルほどの収入になります。

逆に、高級なレストランの場合、料理自体の値段が高くなります。例えば、1人あたり最低でも20ドルの料理を注文した場合、チップは20%。チップ分だけで4ドル。上の例と同様に6つのテーブルを担当した場合、一時間にチップ分だけで24ドル。これに、最低時給の5.08ドルを足すと、一時間に合計29.08ドルになります。これを1日8時間働いたとした場合、232.64ドルほどの収入になります。

お店によってチップの配分の仕方は様々で、ウェイターやウェイトレスさんが稼いだチップから、バスと呼ばれる接客はせずにテーブルをきれいにしたりセットアップしてくれる人達や、ホステスと呼ばれるテーブルまで案内してくれる人達へのチップも含まれていることもあります。そのため、そういった人たちへのチップ分を引くと、もう少し手元に残る金額は少なくなる場合もあります。

また、テーブル制ではなく、ウェイターやウェイトレスさん全員が稼いだ分をオーナーが人数分で均等に割ったり、経験年数毎に70~100%で計算して渡すところもあります。お店によってやり方が違うので一概には言えませんが、大体の相場感としてご紹介しました。 チップの相場を高いと思うか安いと思うかは、それぞれの金銭的な価値観によっても変わってくると思います。それでも、チップを主な収入源にしている人達がたくさんいるので、もし、アメリカで誰かに良いサービスをしてもらったら、感謝の気持ちをこめて、いくらかのチップを渡してあげるといいでしょう!

 

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